下肢静脈瘤
下肢静脈瘤とは?
足の皮膚の下にある静脈がボコボコと膨れて目立つ状態のことです。
基本的には良性の病気ですので、放っておいても命に関わることはありません。
しかし、一度できてしまった静脈瘤は、自然に治ることはありません。
以下のような症状があり、日常生活に支障をきたす場合には、治療を検討します。
- 血管がボコボコと膨れる
- 夕方になると足が重く、だるくなる
- 足がむくむ
- 足がつりやすい(こむらがえり)
- ふくらはぎやくるぶしに湿疹ができる
- ふくらはぎやくるぶしが茶色に変色する
- くるぶしに潰瘍(皮膚のえぐれ)ができる
原因
皮膚のすぐ下にある静脈の逆流防止弁が壊れることによって起こります。
逆流防止弁が壊れる原因は主に以下のものです。
- 立ち仕事
- 妊娠・出産
- 加齢
- 肥満
- 遺伝的要因
検査
超音波検査で静脈の血流をチェックすることで静脈弁の異常を検出できます。
また、深部静脈血栓の有無をチェックすることも重要です。
治療
- 圧迫療法(弾性ストッキング):すべての患者さんに適応となります
普通のストッキングとは異なり、足を圧迫することができるよう特殊な編み方で作られています。
足首での圧迫圧が一番高く、上に向かうほど圧力が弱くなる構造になっています。
これにより、静脈が圧迫され、足先から心臓への血液の戻りを促進します。
下肢静脈瘤による症状を緩和することができます。
根本的な治療法ではありませんが、適切な圧・サイズを選ぶことでより高い効果が期待できます。
弾性ストッキングについての専門的知識を有する院長(弾性ストッキングコンダクター)にご相談ください。
その他、以下の治療法があります(当院では行っておりません)。
・血管内焼灼術
・ストリッピング手術
・硬化療法
患者さん一人ひとりの病態や症状に応じて、適切な医療機関(心臓血管外科)をご紹介いたします。
深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
深部静脈血栓症・肺塞栓症(エコノミークラス症候群)とは
筋肉の下を通る静脈(深部静脈)に血のかたまり(血栓:けっせん)ができる病気です。
多くの場合、脚の静脈に起こります。脚の静脈にできた血栓が血流に乗って飛ぶと、心臓を通過して、肺の血管へ詰まります。これが肺塞栓症(エコノミークラス症候群)です。
原因
足の静脈の血液が心臓に戻るためには、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用が重要です。
長時間ふくらはぎの筋肉を使わない状態が続くと、静脈の血液の流れが滞り、血栓ができやすくなります。長距離旅行や長期臥床などが原因となります。
そのほかにも、悪性腫瘍など血液が固まりやすい病気がある場合、妊娠中やエストロゲン製剤を飲んでいる場合などに血栓ができやすくなります。
症状
深部静脈血栓症の症状は、主に足が腫れる、痛む、色が変わるなどです。小さな血栓の場合は無症状のことも多いです。
肺塞栓症(エコノミークラス症候群)では、小さな血栓の場合は無症状なことのこともあります。大きな血栓の場合には、胸痛、呼吸困難が出現し、場合によっては命に関わる場合もあります。
診断
下肢の血栓の有無は超音波検査で診断することができます。
また、当院では迅速血液検査でD-ダイマーを測定することができます。
D-ダイマーが低値であれば急性の血栓は否定的です。
高値の場合は、超音波検査やCTなどを施行します。肺塞栓症(エコノミークラス症候群)が疑われ、入院加療が必要な場合には、適切な医療機関へご紹介いたします。
治療
抗凝固薬の内服をおこないます。
肺塞栓症を併発している可能性が高い場合には、入院加療が必要となりますので、適切な医療機関へご紹介いたします。