足のむくみの原因には、さまざまなものがあります。診察・検査を行い、治療が必要な病気であるかどうかを判断します。

むくみとは何か

むくみは皮膚の下の血管の外に水分が過剰に溜まった状態です。

心臓のポンプ作用によって送り出された動脈の血液は、体のすみずみまで供給されます。毛細血管の動脈側から出た水分や蛋白は、組織へ栄養を送り届けた後、静脈やリンパ管に回収されます。水分の約90%は静脈に、残りの10%はリンパ管にかえります。つまり,むくみには静脈の流れが大きく影響します。

特に両足の静脈の血液は、遠く離れた心臓に重力に逆らって戻らなくてはならないため、むくみが出やすい部位です。

以下の3つの働きにより、静脈の血液は心臓へ戻ることができます。

  1. 歩くことでふくらはぎの筋肉が縮み、静脈の血液を心臓方向へ押し上げます。
  2. 呼吸により腹圧が変化し、また胸郭の変化により静脈の血液が心臓へ戻りやすくなります。
  3. 静脈の血液が重力で足先に落ちてこないように、静脈には逆流防止弁(一方向弁)がところどころについています。

このため、ふくらはぎの筋肉を動かさない状態が長く続いたり、静脈の逆流防止弁が壊れていたりすると、むくみがおきます。

むくみの原因

病的なものから生活習慣によるものなど、さまざまな原因があります。診察、検査にて原因を診断し、治療方針を決定いたします。

起立性浮腫
生活習慣によるもの

足の静脈が重力に逆らって心臓へと戻っていくのに、ふくらはぎの筋肉が静脈を締め付ける力が非常に重要です。このふくらはぎの動きが減ったり、筋力が低下したりすることでむくみが起きます。

  • 立ちっぱなし
  • 座りっぱなし
  • 運動不足
  • ダイエット

などが原因となり、健康な人にも起こりうるものです。

食生活や飲酒

塩分やアルコールの摂取が多いことでむくむことがあります。

静脈の病気

静脈の病気でむくみの原因となる主なものとしては、

下肢静脈瘤と深部静脈血栓症があります。

心臓の病気

心臓のポンプの力が弱くなると、静脈血を引っぱり上げることができないために、静脈の流れがとどこおり、むくみが起こります(心不全)。むくみのほかに、息切れや苦しくて横になって眠れない、などの症状が認められることがあります。レントゲンや心臓超音波検査、血液検査などで診断します。

腎臓の病気(腎不全、ネフローゼ症候群)

全身のむくみが出ることが多く、朝起きた時に目の周りや顔のむくみが目立つことが多いです。尿検査、血液検査などで診断します。

肝臓の病気(肝硬変)

全身のむくみで、お腹に水が溜まる(腹水)ことが多いです。血液検査などで診断します。

ホルモンの異常

甲状腺機能低下症などがあります。身体所見や血液検査などで診断します。

薬剤による副作用

内服しているお薬の副作用で足のむくみが生じることがあります。

若い女性のむくみ
 月経前浮腫

 月経前に起こり、月経終了後に改善するむくみです。女性ホルモンが増加することで、体に水分をためこみやすくなることが原因です。

 特発性浮腫

 閉経前の女性に起こる月経周期とは無関係のむくみです。起立性浮腫がストレスなどの影響で大きく現れるものと考えられています。1日の体重の変動が大きい、ストレスによる影響を受けやすい方に多い、などの特徴があります。

リンパ浮腫

リンパ管が手術などで切断されたり、働きが悪くなったりしてリンパ液の流れがとどこおることで起きるむくみです。お腹の手術の後などに起こるものが多いです。診断に当たっては他の原因によるむくみではないことを確認することが重要です。リンパ浮腫と診断された場合には、専門機関にご紹介いたします。