心臓ペースメーカーとは?

心臓ペースメーカーは、心拍を正常に保つための医療機器です。心臓の電気信号に異常があり、脈が遅くなったり、不規則になったりする患者さんに対して使用されます。

小型の機械を胸の皮膚の下に埋め込み、リード線を心臓に留置して、適切なタイミングで電気刺激を送ることで、心臓のリズムを整えます。

最近では、「リードレスペースメーカー」という新しいタイプも登場しています。リードレスペースメーカーは、カプセル型の小型デバイスを直接心臓の内部に埋め込むことで、リード線を留置せずに心臓のリズムを整えることができるものです。

当院では、紹介状をお持ちの患者さんのペースメーカーチェックを行っており、ペースメーカー植込み術後の患者さんやご家族からさまざまな質問をいただきます。

ここでは、よくあるご質問とその回答をご紹介します。

Q&A集

携帯電話は使用して大丈夫?

A.最近の携帯電話(4G、5G、スペクトラム拡散方式)は大丈夫です。
通常の使用ではまったく問題ありませんし、周りの人が使用しても大丈夫です。
優先席にて、「携帯電話の電源をお切りください」と書いてあることがありますが、切らなくても大丈夫です。

IH調理機、IH炊飯器、IHコンロは使用して大丈夫?

これら機器を使用中に、抱きかかえたりして、ペースメーカーを密着させなければ大丈夫です。
通常の使用では問題ありません

電気毛布、電気カーペット、電気こたつの使用大丈夫?

これらの暖房器具は古くなると漏電することがあります。漏電しているものに触れていると、ペースメーカーに影響を与えます。比較的新しいものなら心配はいらないと思いますが、古いものには注意してください。
これら暖房器具を使用中に気分が悪くなる場合は、使用中止して下さい。

磁石は大丈夫?

磁石はペースメーカーに影響を与えます。ペースメーカーに磁石をつけるとマグネットモードというモードに切り替わる物があります。磁石をペースメーカーから離せば元の動作に戻りますのでご安心ください。
磁石は色々な物に使われており、最近では携帯電話、タブレット、パソコンなどにはいっていますので、胸に接触しないようにしましょう。また、胸ポケットにこれらを入れないほうが良いでしょう。

MRIは撮影できる?

MRI対応の機種であれば撮影が可能ですが、全ての医療機関で撮影できるわけではありません。MRI対応ペースメーカーが植え込まれている方は、ペースメーカー植え込み手術を行っている医療機関でのMRIの撮影が可能です。


ペースメーカー植込み後の患者さんにMRIを撮影する場合、ペースメーカーのモードを変更する必要があります。これにはペースメーカーのプログラマという専用機器が必要となります。ペースメーカーのプログラマはペースメーカーの植込みができる施設には常備しています。


ペースメーカーの植込みをしていない施設でも、対応できる循環器内科、臨床工学技士、ペースメーカーのプログラマが準備できれば可能ですが、対応できる施設は限られるでしょう。事前に対応可能な医療機関を確認し、必要に応じて紹介状をもらうようにしましょう。

CTは撮影できる?

CT撮影自体はペースメーカーに大きな影響を与えることはありませんが、高出力のX線が機器の誤作動を引き起こす可能性があるため、撮影時には放射線技師や主治医にペースメーカーを使用していることを伝えてください。また、CT装置の種類によっては、一時的にペースメーカーの作動モードを変更することが推奨される場合があります。

低周波治療器、EMS(電気的な筋肉刺激)、体脂肪計、電気風呂は大丈夫ですか?

体に電気を流すと、ペースメーカが誤作動しますので、避けてください。しかし、すぐににやめればペースメーカーは元の動作に戻りますのでご安心ください。

飛行機に乗ることはできますか?

A: 可能です。空港の金属探知機やセキュリティゲートはペースメーカーに影響を与えませんが、事前に係員にペースメーカーを使用していることを伝え、手動で検査を受けることをおすすめします。旅行時にも必ずペースメーカー手帳を携帯しましょう。

運動しても大丈夫?

軽い運動は問題ありませんが、コンタクトスポーツ(ラグビーや柔道など)はペースメーカーに衝撃を与える可能性があるため避けてください。また、リード線の状態によっては、ペースメーカーが植え込まれている方の腕を大きく回したりすると、リードが引っ張られて断線する恐れがありますので、植え込みを行なった医師に確認をしてください。