2020年に新型コロナウイルス感染症が流行して以降、国内の麻疹(はしか)の発生報告数は、年間10例以下に減少していました。
しかし、2023年には28例へ増加し、今年もすでに発生数は20例を上回っています。
麻疹(はしか)ウィルスは非常に感染力が強く、免疫を持っていない人が同じ部屋にいた場合にはほぼ100%感染するといわれており、予防接種が最も有効な予防法です。
感染経路
空気感染することが特徴です。空調を共有していれば、感染者から遠く離れていても感染する可能性があります。
飛沫感染、接触感染もします。
潜伏期間
潜伏期間は6〜21日です。症状が出る1〜2日前から人に感染させる可能性があります。
対策をしない場合には、一人の感染者が9〜18人に感染させる強い感染力があります。
主な症状
- 39〜40度の高熱、だるさ
- 鼻水、咳、喉の痛み
- 目の充血、目やに
- 顔→首→胸や背中→腕→脚の順で広がる皮疹。手のひらや足の裏にも出る。
経過
発熱、咳、結膜の充血、目やになどの風邪症状が3日ほど続き、その3−4日後から、顔から皮疹が出現し、3日以内に体全体に広がります。皮疹は、融合傾向を示しながら、7日間くらいで色素沈着を残して治癒します。
麻疹(はしか)に感染すると、一時的に免疫力が低下し、他のウィルスや細菌感染のリスクが上昇することがわかっています。
また、合併症として問題となるのは肺炎と脳炎です。小児では、麻疹の合併症の中で肺炎が一番多い死因です。脳炎は、成人に多く、約1000人に1人が発症します。約25%が後遺症を残し、約15%で死亡します。
また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という感染者の1万人〜10万人に1人に発症する遅発性の病気があります。麻疹(はしか)にかかってから5〜10年後に発症し、2歳未満での感染がリスク因子です。記憶力低下や行動異常、性格変化、痙攣などが初発症状で、知能・運動障害が進行し、数年の経過で死亡します。
治療
特別な治療法はなく、症状を軽くする対症療法が行われます。
麻疹(はしか)患者と接触した後、72時間以内に麻疹ワクチンまたはMRワクチンを接種することで、発症を予防できる可能性があります。
予防
以上のように、麻疹(はしか)は非常に強い感染力を持ち、死に至る可能性のある病気です。予防接種での予防が非常に重要です。
1990年4月2日以降に生まれた年代は、ワクチンを定期接種で2回受けているはずです。
ワクチンの接種回数が1回であった30代以上や2回の接種の機会があったのに1回しか受けていない人は
感染のリスクが高いです。
麻疹(ましん)を含むワクチンをまだ2回接種していない人は、できるだけ早く2回接種しておきましょう。