「トランス脂肪酸」という名前を聞いたことはありますか?

なんとなく体に悪いものと認識されている方は多いかもしれません。

トランス脂肪酸とは?

天然の不飽和脂肪酸のほとんどは、化学構造式の炭素間の二重結合がすべてシス(cis)型です。これに対して、トランス(trans)型の二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸のことをトランス脂肪酸(trans-fatty acid)と呼びます。

トランス脂肪酸には、工業的に作られるものと、天然に含まれているものの両者があります。

天然のものは、牛や羊などの反芻(はんすう)動物由来のものです。反芻動物の胃の中では、微生物の働きによって、トランス脂肪酸が作られます。そのため、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中には微量のトランス脂肪酸が含まれています。

工業的に作られるトランス脂肪酸には、マーガリンやショートニングがあります。 ショートニングは、クッキーやパンなど 洋菓子に多く含まれており、またスナック菓子やインスタント食品、冷凍食品など、 身近な食品に多く含まれています。

トランス脂肪酸は体に悪い?

脂質の多い食生活を送る欧米人を対象とした研究においては、トランス脂肪酸の過剰摂取は、心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症リスクを高めることが知られています。また、トランス脂肪酸の摂取量が増えるとLDL(悪玉)コレステロールが増加し、HDL(善玉)コレステロールが減少することも報告されています。

この研究結果が、日本人に当てはまるのかどうかは明らかではありません。しかし、ラーメン、ファストフード、菓子パンやケーキなどが食生活の中心となっている方は注意が必要です。

どのくらいまでとっても大丈夫?

WHO (世界保健機関)は、心臓血管病のリスクを減らし、健康を増進するための目標値として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満(1日当たり約2グラム)に抑えるよう提示しています。

日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、平均値で、総エネルギー摂取量の0.3%であることが分かっています。ですので、通常の食生活をしていれば、過度の心配は不要です。

主な食品のトランス脂肪酸含有量は下記の表をご参照ください。

(出典:糖尿病ネットワーク ウェブサイト)