一般に動脈硬化といえば、粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化)を指すことが多く、今回はこのタイプについてお話しいたします。
動脈の壁は、内膜・中膜・外膜の三層構造からなります。一番内側で血流と接する内膜は血管内皮細胞で覆われています。
出典:一般社団法人 動脈硬化予防啓発センター ウェブサイトより
高血圧、糖尿病や喫煙などなんらかの原因で血管内皮細胞が傷つくと、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が内皮細胞の裏側に入り込みます。
血管壁内で発生した活性酸素によって酸化され、酸化LDLになると、酸化LDL受容体を介して内皮細胞へ取り込まれ、内皮の傷害が進みます。
血管壁内の酸化LDLによって、血管内腔を流れている単球が引き寄せられ、内皮細胞下に潜り込みます。こうして血管壁に浸入した単球はマクロファージに分化し、酸化LDLを取り込み(貪食)ます。酸化LDLを貪食したマクロファージは細胞内に脂肪滴を含んだ泡沫細胞に変化して、血管の内膜の裏側に蓄積します(脂質コアの形成)。
この脂質コアを取り囲むように血管中膜に存在する平滑筋細胞が内膜へはみ出して異常増殖することで動脈硬化病変(プラーク)が形成されていきます。
脂質の占める部分が多いプラークは破裂をしやすく(不安定プラーク)、プラークが破裂するとそこに血小板が集まり血栓を作って、血管の内腔が狭くなり血流が低下したり、血管が完全に詰まり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。
以上が悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が動脈硬化を引き起こすメカニズムです。
次回は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高値となる要因についてお話します。