血圧が高い方は塩分を控えましょう、というのはよく聞くお話だと思います。

では、それはなぜでしょうか?

塩分(ナトリウム)をたくさんとると、血液の浸透圧が高くなるのを防ぐため、血液中の水分が増えます。

その結果、体の中を循環する血液の量が増え、血管の壁にかかる抵抗が高くなり、血圧が上がると考えられています。

では、高血圧の患者さんは塩分制限を厳しく行えば、皆さん血圧が目標値内に下がるのでしょうか?

高血圧患者さんの中には、食塩をたくさん取ると血圧が上がり、制限すると血圧が下がる人(「食塩感受性がある」人)と、食塩を取っても減らしても血圧があまり変わらない人(「食塩感受性がない」人)がいます。

日本人では「食塩感受性がある」人が約4割といわれており、欧米より多いことが知られています。食塩感受性は遺伝が関係しますが、加齢、肥満、腎疾患、食生活なども影響します。

食塩を取っても減らしても血圧があまり変わらない人(「食塩感受性がない」人)は、多少塩分をとった量が増えても、その分、尿にナトリウムを多く排泄することができます。

食塩をたくさん取ると血圧が上がり、制限すると血圧が下がる人(「食塩感受性がある」人)は、取りすぎた塩分(ナトリウム)を尿中にうまく排泄できない(ナトリウムの排泄障害)がある方です。

現在、食塩感受性の有無を見分ける診断基準などはありませんが、血圧上昇のパターンや薬剤への反応性などによって推測が可能です。

食塩感受性高血圧の方には、減塩はもちろんですが、ナトリウムをうまく排泄できるようにする作用のある降圧剤が効果的です。

当院では、尿検査で1日の塩分摂取量が推定できます。また、患者さん個人個人にあった血圧の治療をご提案いたします。

いつでもご相談ください。